介護施設の料金・費用の利用者負担。
介護施設への入居は、料金・費用負担がどれくらいになるのかはやはり気になるところです。
介護保険が利用できる、主な介護施設の料金・費用の相場を、以下に示します。
施設の種類や経営母体、さらには提供サービスの内容によってもかなりの幅が生じることが多いので、あくまでもおおまかな目安・水準としてお考えください。
介護保険施設(1)〔介護老人福祉施設〕。でもご説明しましたが、介護保険三施設において自己負担となる食費・居住費については、モデルケースとなる「厚生労働省の基準費用額」に準じています。
さまざまな諸経費を、費目を個別に設定したうえで別途徴収する介護施設も多いので、入居前にはそのあたりをよく確認しておく必要があります。
また以下にもご説明する「××ホーム」と呼ばれる介護施設では、別に入居一時金(保証金)を求める施設があることにも、留意する必要があります。
【2015年4月追記】
以下は自己負担割合を「1割」に想定していますが、介護保険法の改正(2015年4月施行)によって、「一定以上の所得者(年間の合計所得が160万円以上の者、世帯単位でなく個人単位)」は、2015年8月以降の自己負担額が「2割」になりました。
また同じく2015年8月以降、特養などの入居者で一定の「低所得者」に支給されてきた「食費・居住費の補助(補足給付)」にも資産基準が導入されました。
該当して支給対象外となった場合は、食費・居住費が月額4~6万円程度アップすることになります。
詳しくは平成27年(2015年)の介護保険改正(2)~利用者負担と補足給付の見直し を参照下さい。
【2017年6月追記】
介護保険法の改正(2017年6月施行~)により、2割負担者のうちで「より所得の高い人」の自己負担割合が、2018年8月から「3割負担」になります。
現在自己負担が2割の人の全員が、3割負担になるわけではありません。「より所得の高い人」の基準に該当する人のみ、対象になります(「より所得の高い人」の基準は、施行までに政令で定められます)。
厚生労働省の試算によれば、負担増となる利用者の9割方は「在宅系サービス」の利用者と見られています。
施設サービスの利用者は、すでに2割負担の段階で、特養等の入居者の大半が高額介護サービス費の「(月あたりの)自己負担限度額」上限に達しているとみられるためです。
「どの負担割合に属するか」は、2018年度に入ってからお手もとに送られてくる「負担割合証」で確認することになります。
詳しくは 平成29年(2017年)の介護保険改正(1)~現役並み所得者の自己負担が3割に を参照下さい。
■介護施設別の費用概算(介護保険の利用により自己負担となる金額)
・介護保険三施設(施設サービスが使える)
●介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム・特養) 8~13万円
【内訳の目安】
・介護保険の1割負担分 2.4~2.8万円
・居住費(滞在費。室料+光熱費) 1~6万円(※厚生労働省の基準費用額)
・食費 4.2万円(※厚生労働省の基準費用額)
●介護老人保健施設(老健) 9~15万円
【内訳の目安】
・介護保険の1割負担分 2.8~3.2万円
・居住費(滞在費。室料+光熱費) 1~6万円(※厚生労働省の基準費用額)
・食費 4.2万円(※厚生労働省の基準費用額)
・加算諸経費 1~2万円
●介護療養型医療施設(療養病床) 11~18万円
【内訳の目安】
・介護保険の1割負担分 3.5~4.2万円
・居住費(滞在費。室料+光熱費) 1~6万円(※厚生労働省の基準費用額)
・食費 4.2万円(※厚生労働省の基準費用額)
・加算諸経費 2~3万円
・施設サービス以外の介護保険サービスが使える介護施設
▼軽費老人ホーム(ケアハウス) 8~20万円
(注1)軽費老人ホームには、A型(食事付)・B型(食事無し)・ケアハウス型(食事付) がある。
食事の有無などによっても支払う金額が異なってくる。
(注2) 介護保険の「居宅サービス」「地域密着型サービス」が利用できる。
1割負担分は要介護度によっても異なるが、月額にして2~2.5万円程度。
(注3)施設によっては、別途に入居一時金(保証金)がかかる場合がある。
※軽費老人ホーム(ケアハウス)については、以下の記事もあわせてご参照ください。
・「老人福祉施設」、その様々な種類。
・「地域密着型サービス」の概要。
▼グループホーム(認知症対応型共同生活介護施設) 8~15万円
(注1) 居住費・食費・管理費を含んだ金額を、ホームに毎月一括で支払う。
(注2) 介護保険の「地域密着型サービス」が利用できる。
1割負担分は要介護度によっても異なるが、月額にして2.5~2.8万円程度。
(注3) 施設によっては、別途入居一時金(保証金)がかかる場合がある。
※グループホームについては「地域密着型サービス」の概要。をご参照ください。
▼介護付有料老人ホーム 15~30万円
(注1) 居住費・食費・管理費を含んだ金額を、ホームに毎月一括で支払う。
(注2) 入居者は1割負担で介護保険の居宅サービスが利用可。利用料は要介護度別で異なる。
サービスを提供するのが外部事業者であっても、サービス利用料はホームに支払う。
(注3) 別途、入居一時金がかかる場合がある。
入居一時金は無し(0円)~数十万円・数百万円まで、ホームの経営方針やグレードで異なる。
(注4)有料老人ホームには、介護付の他健康型・住宅型もある。
健康型は介護付に比べ費用は低廉だが、住宅型では要介護度が悪化した場合など、介護付を上回る費用がかかることもあり得る。
※有料老人ホームについては、以下の記事も併せてご参照ください。
・有料老人ホーム(1)〔総論〕。
・有料老人ホーム(2)〔3類型について〕。
・有料老人ホーム、現状と入居前の注意点。
すべての記事(記事一覧)は⇒ こちらから