有料老人ホーム(1)〔総論〕。
「有料老人ホーム」は、ひとつの俗称的な呼び方であり、機能面でとらえた場合、「高齢者に配慮されたマンション等の建物」+「食事・介護等の各種サービス機能」の有料による提供、ということになります。
なお、「有料老人ホーム」は法律上は「特養」のような「老人福祉施設」の扱いを受けていませんので、注意しておきましょう。
厚生労働省は「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」を設け、「有料老人ホーム」を「健康型」「住宅型」「介護付」の3類型に分類しています。
介護保険上の居宅サービスとなる「特定施設入居者生活介護」の事業者指定を受けている「(介護付)有料老人ホーム」は、一般的に認識されている(すなわち「健康型」「住宅型」も含めた)「有料老人ホーム」の中に含まれる、という位置づけになります(もっとも現実は、有料老人ホーム全体のほぼ8割が、この(介護付)有料老人ホームとなっています)。
有料老人ホームにおいては、介護保険の「施設サービス」の適用がないため、入居金・施設設備・運営費などは、すべて入居者の自己負担となるのが原則です。
有料老人ホームへの入居は、あくまで「ホームと入居者の個別的な自由契約」になるためです。
しかし都道府県から「特定施設入居者生活介護」の事業者指定を受けている「(介護付)有料老人ホーム」においては、ホームから受けるサービスにおいて、介護保険(「居宅サービス」である「特定施設入居者生活介護」)を利用することができます。
言い換えれば、「(介護付)有料老人ホーム」を名乗る以上は、絶対に「特定施設入居者生活介護」の指定を受けていなくてはならず、指定を受けていなければ、広告において「(介護付)有料老人ホーム」と称することはできません。
なお、「特定施設入居者生活介護」については、居宅サービス(3)〔外部に通所・通院+その他〕。も、あわせてご参照ください。
「(介護付)有料老人ホーム」の場合には、施設スタッフ、ないし施設が契約した外部の事業者が
サービスを提供し、それを受けるかたちになります。
また、多くの(介護付)有料老人ホームでは、介護保険の定めた以上の介護を提供しており、それらは「上乗せサービス」「横出しサービス」と呼ばれています。
この部分は、利用者側の全額負担となるので、注意が必要です。
「(介護付)有料老人ホーム」の他に、この介護保険のサービスである「特定施設入居者生活介護」が使える特定施設には、
・「ケア付共同住宅(「シルバーハウス」「シニア住宅」など)」
・「ケアハウス」
・「高齢者住宅(「シルバーマンション」「高齢者アパート」など)」
などが含まれます。
特定施設の対象範囲は、これまでは厚生労働省により広げられる傾向にあったのですが、近年は自治体への権限委譲が進み、いまや市町村のOKがないと、「特定施設」にはなれなくなっています
(これは俗に、「総量規制」と言われています)。
介護保険の導入以降、これまで、有料老人ホームの数は、急激に増加してきていました。
入所まで数年待ちとされる「介護老人福祉施設(特養)」に入居するまでのつなぎとして有料老人
ホームを頼る「待機者」の増加や、入所期限が原則3ヶ月の「介護老人保健施設(老健)」からの
受け皿として入所する利用者の増加などが、とりわけ(介護付)有料老人ホームへの需要を
押し上げてきています。
しかしながら、全国の多くの市町村がもう新たな枠が残っていないとして、この「特定施設」となるためのOKを出さなくなっていることから、「特定施設」となる「(介護付)有料老人ホーム」の大幅な増加は、これからは難しいだろうとみられています。
さて、有料老人ホームにおける料金面ですが、入居時に一括して支払う「入居一時金」、そして、月々に支払いが必要な「月額利用料」の二種類が、通常は必要とされます。
(ちなみに「入居一時金」と「月額利用料」を必要とするこの契約形態は、「利用権方式」とよばれ、
有料老人ホームにおいて最も一般的な、居住の権利方式です。)
相場としては、「入居一時金」が数百万円程度(高級感を謳っている施設の場合は、千万円単位のケースがあります)、「月額利用料」が15-30万円といったところです。
とりわけ「入居一時金」の相場については、全国で数倍程度の地域格差があり、関東圏・近畿圏がもっとも高額となっているようです。
また、最近では「入居一時金」不要、という有料老人ホームも増加してきていますが、「入居一時金」は基本的に家賃の前払い的な意味があることから、そのようなケースでは通常、「月額利用料」が高く設定されていることに注意しましょう。
「入居一時金」不要のタイプを選択する利用者は、「月額利用料」が高くなるにしても、最初から特養への入居待ちとして利用するつもりで、滞在期間を1年から2年程度とそもそも短く想定している人が多いとも言われています(もっとも、思惑どおりのタイミングで特養に入居できるとは限りませんから、その場合は結果的に、想定以上の金額がかかることになります)。
なお、この「入居一時金」は、一定の期間で償却されることになります。
「入居一時金」は最初に一括して支払うケースがほとんどですが、有料老人ホームによって、退去時の償却率や償却期間がまちまちとなっています。
とりわけ初期償却率を高めに設定している有料老人ホームもあり、選択時には注意して比較することが必要でしょう。
「月額利用料」についても、これを支払えば後はかからないということはむしろ少なく、有料老人ホーム独自に別途の追加料金を設定している施設が多く、それらのオプション費用を加算すると、総額として
大きく膨れ上がるケースがあります。
したがって、この「月額利用料」でカバーされる範囲がどこまでなのかを、事前にちゃんと確認しておく必要があります。
次のコラム有料老人ホーム(2)〔3類型について〕。では、厚生労働省の定める「有料老人ホームの3類型」について、解説します。
過去の全記事(サイトマップ)は⇒ こちらから
< 当サイトの姉妹サイトも、よろしければあわせてご覧ください。 >
・「高齢者住宅 知っておきたい違いの理由」
・「介護付有料老人ホーム 入居者目線で選ぶ智恵」
・「介護予防 これだけは知っておきたい知識と知恵」
・「介護用品・介護機器・福祉用具の基本を知る」
▲画面上へ
« 一つ前のエントリーへ | HOMEへ | 次のエントリーへ »
【その他介護施設カテゴリーの関連記事】
- 介護施設、様々な名前の施設が並存する理由。
- 「老人福祉施設」、その様々な種類。
- 有料老人ホーム(1)〔総論〕。
- 有料老人ホーム(2)〔3類型について〕。
- 有料老人ホーム、現状と入居前の注意点。
- 「グループリビング(グループハウス)」、現状とこれから。
- 「ケア付の高齢者住宅」、新たな介護施設のかたち(1)。
- 「ケア付の高齢者住宅」、新たな介護施設のかたち(2)。
- 「ケア付の高齢者住宅」、新たな介護施設のかたち(3)。
- 介護施設への入所、いつからどう準備するか。
- 介護施設、「何をいつ、どう探すか」という問題への対処方針。
- 「遠距離介護」、介護施設選びで気をつけたいポイント。
- 「遠距離介護」、避けては通れない交通費問題と、その対策。
- 認知症の家族の介護と、介護施設の利用にかかわる基礎知識。
- 認知症における老々介護の現状が示す、介護保険制度の限界。
- 家族の認知症に直面したときの心構えと対応、介護施設への備え。
- 「介護サービス情報の公表」の、都道府県別システム。
- 介護施設、トラブル時の対処法と駆け込み先を知っておく。
- 「高齢者生活福祉センター」。
- 「在宅介護支援センター」「地域包括支援センター」。
- 「全国有料老人ホーム協会」。
- 介護施設に関する、お役立ちリンク集。