有料老人ホーム、現状と入居前の注意点。


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全国の高齢者施設の中でも、居室の数が圧倒的に多いのは、前述した介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)・介護療養型医療施設・介護老人保健施設の、いわゆる「介護保険三施設」です(介護保険三施設、懸念されている問題点。をご参照ください)。


介護療養型医療施設は長期的にみて廃止される公算が強く、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)も入居者と同数近い待機者が列をなしている現状で、早期の入居は非常に困難な状況となっています。


そのような背景もあって、介護保険の導入後、一定の要件を満たすことで介護保険給付の対象となる「特定施設」であるところの「(介護付)有料老人ホーム」が、これまでは大きく増加してきていました。

しかし2006年度から介護保険給付の都道府県負担の割合が引き上げられたこともあり、いまや多くの自治体が、介護保険にかかる自らの財政負担を減らそうと、介護給付の対象となる「特定施設」の指定を与えなくなっています。

すなわち(介護付)有料老人ホームの新設が、実質的に認められなくなってきているのです。


介護保険において費用の9割を負担する側の自治体の側からみれば、今後の財政負担を考えると、これはやむを得ない防御措置だと言えるかもしれません。

いずれにせよ、今後の(介護付)有料老人ホームの新設は、現状では厳しい見通しとなっています(現状では介護付に代わり、サービス付き高齢者向け住宅や(住宅型)有料老人ホームが大きく増加してきています)。

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有料老人ホームにおける入居一時金も平均で3百万円程度、月の平均利用料も12~25万円程度となっており、経済的負担感もかつてに比べて軽減される趨勢にあるようです。

ただし今後の施設増加の見通しが厳しいからといって、「入居できるならどんな老人ホームでもよい」という考え方は、非常に危険です。

有料老人ホームがここまで増加した中、現在進行形でさまざまな問題が指摘されているからです。

有料老人ホームの中には、入居者の医療依存度が高い場合には、強制的に退去を迫る施設もあることなどから、国民生活センターなどへの苦情も、これまでに数多く寄せられているようです。


国民生活センターの調べによれば、重要事項説明書をホームページに公開している有料老人ホームは10%に満たず、過去3年間に死亡を除く退去者がいる有料老人ホームは80%以上に達します。

その他、退去にあたっての入居一時金の返還に関わるトラブルなども少なくないようです。

以上のような背景もあるため、有料老人ホームへの入居時には、施設の見学と一緒に必ず、重要事項説明書、および施設の経営状況や経営成績を記した財務諸表を事前に確認するようにしましょう。


なお、万一有料老人ホームとの間で入居に関わるトラブルが生じた場合は、お近くの「消費生活センター」へ相談し、今後の対応についてアドバイスを受けるようにしましょう。

専門の相談員が、公正な立場からサポートをはかってくれます。


介護付有料老人ホームについては、姉妹サイト「介護付有料老人ホーム 入居者目線で選ぶ智恵」もご覧ください。


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