緩和ケアが受けられる介護施設とは。
末期がん等の難病が進行して「緩和ケア(終末期医療・ホスピス)」を受ける場合、家族を中心にした在宅での医療対応が難しいケースは少なくありません。
(ちなみに「緩和ケア」については、関連サイト「在宅医療とは~よく生き、よく看取るために」の以下記事をご参照下さい。)
緩和ケアとは~あらゆる病気を対象に、本人の様々な苦痛を取り除く
緩和ケアについて、家族の立場から知っておきたいこと
緩和ケアで終末期を過ごす場合、一般的には緩和ケア病棟(ホスピス)あるいは入院先の病院、または自宅での在宅療養がイメージされると思いますが、介護施設においても緩和ケアを受けることは可能です。ただし、法令上の制約がある施設は除かれます。
たとえば介護老人保健施設(老健)や介護療養型医療施設(介護療養病床)には専従の医師と看護師の配置が義務付けられているため、外部からの訪問医療を入れることはできません。介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム、特養)もごく一部の状況で例外的に認められるのみで、原則としてダメです。
そもそも在宅医療を受ける場合、保険診療の対象になる場所があらかじめ規定(原則、医師の所属する医療機関から16km以内)されている等、いくつか条件があることにも留意しておきましょう。
原則として保険の効く診療は「普段から生活している場所」に限られるため、たとえば老健や通所介護(デイサービス)はそうみなされず、訪問診療の対象とならないのです。
介護施設内での看取りの絶対数はまだ全国的に少なく、それはすなわち、緩和ケアから看取りに至るまでの体制を整えている介護施設の絶対数が少ないことを示しています。
介護老人福祉施設(特養)での看取り~現状と今後。
したがって介護施設での緩和ケアは、特定の施設を除き対応自体は可能であるものの、対応していない施設のほうが多い現状にあります。
介護施設で夜間に本人の状態が悪化した場合、施設側で対応する職員が通常は極めて少ないため、急性期病院に救急車で搬送されるだけとなることも多いのが実情です。
緩和ケアを受けている入所者についても、結局は終末期医療と看取りについて、その介護施設がどのような理念・方針にもとづき、実務上どう対応しているかにかかってきます。
介護施設の入所時は、施設の提携先病院の医師への担当医変更を条件にされることもあるため、その場合これまで治療にあたっていた医師との関係が切れてしまうこともあり得ます。
介護施設の医療体制の現状。
在宅での医療・介護がかなわず、緩和ケア中の家族をやむなく介護施設に入所させる必要がある場合には、その介護施設の対応方針を事前によくヒアリングしておく必要があります。
非常時に連絡を受けた家族が動揺してしまい、それまでの施設側との取り決めをひるがえして「とにかく救急車を呼んで」と施設に頼むことも珍しくなく、たとえ介護施設側で非常時の体制が組まれていても、まったく活かされないケースもあるようです。
家族としては介護施設側で日頃から十分な意思疎通がはかっておくことはもちろん、あとで後悔の無いよう非常時の対応につき、いくつかの想定にもとづいた心の準備をしておくことも大切です。
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