介護施設の医療体制の現状。


スポンサーリンク

他の施設との差別化をはかるべく、ホームページや宣伝パンフレットなどで「24時間医療対応・医師や看護師の常駐」をうたう介護施設は、少なくありません。

しかし個々の入居者からすれば、本人の様体が万一急変した場合、医療的に適切かつ現実的な対応をすばやく取ってもらえるか否かが、一番大切なことです。


医療体制でみると、その介護施設と契約する医師が主治医として派遣されてくるケースが多くあります。病院が介護施設と同一敷地内に併設されている場合は、そこから医師が定期的に派遣され、入居者の訪問診療を行なうことになります。

ここで問題なのは、医師が自身の所属病院で外来診療をしながら複数の施設を掛け持ちしている場合、当然に一施設あたりの滞在時間が限られてくることです。

介護施設の入居者はいくつかの持病や機能障害を持っているのが普通ですが、結果的に1人あたりの診察にかける時間が極めて少なくなるため、入居者の身体的異変を初期の段階で察知して適切な処置を施すことは、どうしても難しくなります。

定時の訪問日に入所者と少し会話を交わすだけで終わったり、医師が居室の様子をさっと見ただけで次の現場へ移動するようなケースも、現実には決して珍しくないようです。


その介護施設と長年にわたって良好なコミュニケーションをとりながら、総合診療医・かかりつけ医として信頼のおける医師が担当しているような場合、入所者の安心感は大いに高まるでしょう。

しかし有料老人ホーム等のように同一施設内で長い年数の入居が見込まれる入居者ばかりではないことが、介護施設で行われる医療を難しいものにしています。

病院退院後に、介護施設を替わらざるを得ない場合とは。

特養への入居待ちなどにより、介護療養病床(老健)や自宅を数ヶ月単位で転々と移り変わる方の場合、途中で自宅療養をはさんだ期間が長くなることで「医療情報の断絶」が生じ、過去の経過がわからなくなって、最初から検査のやり直しとなる場合もあります。

スポンサーリンク

認知症や糖尿病など、これまでの治療経過の記録が現時点での治療に必須となる病気も少なくありません。

病院間で自分のデータがちゃんと引き継ぎされているものと無条件に思い込まず、過去からの診療経過(服薬している薬の種類なども含め)が医療情報として現在の担当医にきちんと引き継がれているかを、特に入居者の家族は注意しておく必要があります。


看護師は医師の指示のもとで許されるいくつかの医療行為があるだけで、病状の診断や治療ができるわけではありません。

医療や病気の種類によっても対応は異なってきますが、問題は「入居者の様態急変時に、その場に居合わせた人が適切な判断を下せるかどうか」です。

そういったケースでの基本的な対応方針をどう考えているのか、入所前に施設の(医療)責任者には、ぜひヒアリングしておきましょう。


異変が起きた瞬間にたまたま医師が居合わせていれば「不幸中の幸い」ともなり得ますが、1~2名の職員が対応に追われる夜間の場合、施設の担当医とすぐに連絡がとれないことは、むしろ普通かもしれません。

何かあった場合は救急車を呼んで急性期の病院に搬送するだけ、という施設は現実に少なくないようです。

介護老人福祉施設(特養)での看取り~現状と今後。


介護施設に医療機関が併設されている場合は、安心感こそ確かに高まりますが、入所者の持病や症状における専門科の医師がすぐに来て診察してくれなければ、そのメリットも薄れてしまいます。

(ちなみに日本の病院は「自由標榜制」で、医療法で定められた名称の範囲内ならば、制約なく何科でも名乗ることができます。老人医療に優れた病院が併設されているかどうかは、看板だけからは必ずしもわからないわけです。)

病院が併設される介護施設への入所を検討する場合、その介護施設だけでなく、病院の診療科・評判、あるいは夜間や休日における急患の受け入れ体制等も、あわせてチェックしておきましょう。


もちろん完全に安心な医療体制を介護施設に求めるのは現状で難しいものがあり、ある程度のところで現実的な妥協が必要にはなるでしょう。

しかしそうであっても、「24時間医療・看護体制で安心」という介護施設側の説明に満足して思考を止めてしまわずに、現実的にどのような対応がとられる可能性が高いかについて、少し踏み込んで調べる姿勢は持つようにしたいものです。


スポンサーリンク



すべての記事(記事一覧)こちらから




▲先頭に戻る