介護施設に関わる、介護報酬改定(2015年)。


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一括法となる「地域医療・介護総合確保推進法」のもと、介護保険法も医療法などと共に改正が行われ、2015年(平成27年)4月から順次施行されています。

2015年度の介護報酬改定では、地域包括ケアの理念にもとづく「施設から在宅へ」の流れに沿うかたちで、施設サービスの単価が、在宅サービスに比べて大きく引き下げられています(全体では2.27%の減)。

介護報酬の改定と利用者への影響。
介護サービスの単価と「単位」の関係~介護報酬の改定が及ぼす影響

特に介護施設に関わる改正で、入居者側として踏まえておきたいポイントを、施設の種類別に整理します。


介護老人福祉施設(特養)

特養への新規の入所者要件が、原則として「要介護3以上」に変更されました(これまでは要介護1以上)。

2015年(平成27年)4月以降に新たに入所を申込む人が対象であり、現時点で要介護度1・2の入所者は、そのまま引き続き入所できます。


ただし要介護2以下であっても、「やむを得ない事情(認知症や老々介護等)」がある場合は、市町村の関与のもと入所できる特例(特例入所)が設けられています。

この「市町村の関与」は、施設の入所検討委員会の判定によって判断されますが、いずれにせよ「今後は特養への入所判定において、市町村の関与が強くなる」ことは覚えておきたいものです。

(詳細は平成27年(2015年)の介護保険改正(1)~特養への新規入所者を限定 ご参照)


また、特養の居住費多床室)について、「光熱費」と「室料」の自己負担額が変更になります。

光熱費の基準費用額は家計調査による光熱水費が参考に設定されますが、電気代の値上がり等を反映することとなりました。

多床室の室料についても、一定以上の所得者(市民税課税世帯で、所得段階が第4段階の人)に限って徴収することになりました(2015年(平成27年)8月から適用)。


背景には「多床室は、そもそも低所得者を支えるためのもの」として、在宅介護の療養者との出費のバランスをとる意図があるようです。

光熱費・室料双方の値上げ分をあわせると、該当する方は月々1.5万円程度の負担増となります。

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介護老人保健施設(老健)

介護老人保健施設(老健)設立当初の基本的な「病院と在宅のかけ橋となる中間施設」という機能をさらに強化し、患者の在宅復帰を進める方向に介護報酬が調整されました。

具体的には、「在宅復帰・在宅療養支援機能加算」の単価引き上げ等が行われました。


介護療養型医療施設

療養型施設へのニーズが引き続き強い現状を踏まえ、医療への対応を強化した「療養機能強化型」の介護療養型医療施設が、新たに誕生しました。

身体の合併症がある認知症高齢者や終末期の患者など、「手厚い医療が必要な極めて症状の重い人」の受け入れが、入所の要件となっています。


特定施設(介護付有料老人ホームや一部のケアハウス等)

昨今は特定施設の入居者においても高齢化が進み、認知症の悪化など病状の重度化のみならず、「看取り」も増えてきています。

したがって「重度化対応を進める特定施設」について、介護報酬の加算を手厚くする改定が行われました。


具体的には、特養などですでに認められている「認知症専門ケア加算」を、一定の要件を満たす特定施設においても認め、加えて「看取り介護加算」を手厚くする等の改定が行われました。

「地域包括ケア」の理念の下、国はこれからの特定施設の性格を「重度者対応・看取りまでの介護を行える施設」と明確に位置づけ、その重点化を進めようとしているわけです。


小規模多機能型居宅介護/グループホーム

看取りまでの体制を早期に強化すべく、小規模多機能型居宅介護においては「看取り連携体制加算」「訪問体制強化加算」等、そしてグループホームにおいては「看取り介護加算」が、それぞれ引き上げられました。


ちなみに地域密着型サービス全般においては、地域の事業者は利用者の生活全般に目配りしながら、医療関係者らとも業務の連携を図らなければなりません。

それらの事業所の管理・施策体制(マネジメント)の高度化を支援すべく、「総合マネジメント体制強化加算」も今回から新設されています。


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