介護施設、「何をいつ、どう探すか」という問題への対処方針。


在宅で介護する家族にとって、要介護度が重くなってきた場合や、認知症の症状が進んできたと感じる場合など、自分だけで介護するのはもう限界に近い…と感じるようになるときが、いずれやってくることになります。


家族を介護施設に入居させること自体、肉親に対する心情からなかなか踏み切れないものを感じて、準備や決断をついずるずると後のばしにしてしまいがちになるのは、たしかに無理からぬことです。


しかし一昔前の大家族ならばともかく、二人、せいぜい三人という核家族化が進んだ今日、介護する側が費やす時間や身体的・肉体的な疲労、そして家族の一人一人のこれからの人生・生活の質を考えた場合「介護施設への入居」はむしろ有力な選択肢のひとつとして、積極的に検討すべきです。


問題なのは「在宅か介護施設か」ではなく、「本人と周囲の家族の生活の質を維持するための最適な介護施設を選ぶことができるか、どうやって選ぶか」なのです。


老夫婦だけの家庭で在宅看護を選ぶ場合、最終的に必ず「老々介護」の状態になり、日々一対一でパートナーの介護に向き合う配偶者が、自らを大きく消耗する状況になります。

いうまでもなく介護は、24時間365日、介護する側とされる側の意志を超えた状況と時間帯でしばしば突発的に起きるからです。


もし認知症を発症し、その後夜間の徘徊や家族への攻撃的行動などの行動異常を伴った場合においては、在宅で介護する家族の側も精神的な不安感・緊張が強まり、ストレスにさらされた生活を長期にわたって送ることになります(認知症における老々介護の現状が示す、介護保険制度の限界。参照)。


認知症の発症率は80歳代で5人に1人、85歳以上でほぼ3人に1人の割合といわれており、今日では「長生きすることは、認知症の発症に向き合うこと」といっても過言ではない状況です。

認知症患者の多くは、長い期間を経て助々に病気が進行し、発症してから亡くなるまでの平均期間は、およそ六年ともいわれます。そのため介護に向き合う家族の負担も、必然的に長期化します。


また家族にはどうしても「肉親が認知症になった現実を認めたくない心理」が働きます。
一説には、親が認知症となった事実を子供が受け入れるまでには一年くらいかかる、と言われています。

そのため、認知症の症状がかなり進んだ後に子供たちがようやく施設入所などを考えはじめるケースが、現実には決して珍しくありません。
これは本人にとっても介護者にとっても、最終的により大きな負担を招く結果となりがちです。


それならばいったい、どうするのがよいのでしょうか。


一言でいうと、これからは介護が現実の問題として起きうる家庭ならば誰しも、「事が起きる前にあらかじめ『プラン』をたて、心構えをもつこと」が必要になります。


プランといっても、まずは詳細なものでなく「骨太の方針」でかまいません。

おおまかにどのような方針で動くか。

どのような順番で準備をはじめることにし、そのためにどのような具体的アクションを起こすかについて、日頃からできる範囲で、心構えをもってシミュレーションをしておく。


それだけでもいざ問題が現実のものとなったときに、ずいぶんと違うものです。

突然倒れて介護が必要な状況になったと気づいたときに、ようやく慌てて介護施設を探し始めるケースが、あまりに多いのが実情です。


まずは情報を得ることが、スタートになります。

介護施設の情報収集は、まずは住み慣れた地域をベースに考えていくこと。

そして、最初は間口を広くとって情報を集め、慣れてきたら自分の実情にあわせていくつかの選択肢へと絞り込んでいくようにすることです。


なお、介護施設への入所、いつからどう準備するか。でも記しましたが、住み慣れた地域から本人を移すのは、認知症の発症・進行リスクも高まる恐れもあるため避けたいところです。


機会をとらえて、市区町村の担当窓口地域包括支援センターの担当者と、地域や近隣の住民がどうしているかなどを含めた、情報交換をするようにします。


このときに、この介護施設がよいとか、ショートステイはこの事業所がよいとか、多方面からいろいろと情報が入ってくることになります。

この場合も「近所で評判がよいから」と話をうのみにしたりせず、「事実だろうか。そして事実なら、自分のケースにあてはめるとどうだろうか」と検証する姿勢を、忘れないようにしたいものです。


たとえば、「まずはショートステイを使い、その間に介護施設を探しましょう」というアドバイスを受けたとします。

ひとつのアプローチとして、これは確かに正しいのですが、「ショートステイ先の施設から戻った後はいつも体調を大きく崩してしまうので、その後の家族の介護がかえって大変になる」というケースも、現実にはあるのです。


杓子定規に動いたり、盲目的に人のアドバイスに従うことなく、あくまで「自分のケースに照らして判断していく」姿勢で検討することが大事です。



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