病院退院後に、介護施設を替わる場合。


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探し回った末によい介護施設を見つけ、首尾よく入所を果たせホッとしたとしても、それは多くの入所者の家族にとっては新しい問題の始まりでもあります。


入所時からさらに身体機能の衰えが進むため、要介護度が重くなったり、免疫機能が落ちて高齢者特有の病気を併発するケースも増えてきます。

介護施設で入所者の様体が急変した場合、どうしても(急性期)病院に搬送されるケースが多くなります。

介護施設においては介護スタッフによる医療行為が原則として禁止され、いくつかの行為が例外的に許容されているのみです(介護施設における介護職員の医療行為。)。

したがって介護施設側としても、万一の事態を発生させないよう、すぐに病院への搬送手配をするのはそのリスク管理上当然のことでもあります。


介護施設の運営が病院と一体化していたり、あるいは医師が常駐する施設で治療が早かったことから大事に至らない例外的なケースもありますが、現実には高齢者のおよそ8割が病院で亡くなっているというデータからわかるように、たとえ本人や家族が希望したにせよ、介護施設や自宅での看取りは難しいケースが大半です。


現在、90日を超えて入院する高齢者において病院の診療報酬が減額されるいわゆる「90日ルール」により、病気の種類や病状からの回復度合いにもよりますが、引き続き治療が必要と判断され療養病棟に移る場合を除いては、すみやかな退院を求められることになります。

(なお療養病棟は、全国的に廃止の方向で削減が進められています。介護保険施設(3)〔介護療養型医療施設〕。 ご参照)

もはや治療してもこれ以上の回復が見込めないと判断された場合は、再び元の介護施設に戻るか、老健や別の介護施設に入所するか、あるいは自宅に戻るかのいずれかを選択せざるを得ないわけです。

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入居時の契約にもよりますが、病院への入院期間3ヶ月超が退所要件となる介護施設が多くあります。本人の入院が長引いている間に以前の介護施設が満床になってしまい、戻るに戻れないことも少なくありません。

(ちなみに多くの病院ではソーシャルワーカー(専門相談員)を配し、退院後の行き先や生活に関わる無料相談に応じています。まだかかっていない病院であっても相談には応じてくれることが多いので、利用してみるとよいでしょう)。

施設から病院への搬送回数が増えた場合、施設側から退去を求められることも起こり得ます。

施設としても、いつ起こるかわからない入居者の様体急変のリスクに備え続けるのは、スタッフ配置の問題など経営資源的にも限界があるためです。

また、認知症に対応する力が弱い介護施設や、そもそもある程度健康な高齢者の入居を想定している高齢者住宅やケアハウスなどにおいては、症状が重篤化して徘徊や暴言など周囲に迷惑がかかる症状が出始めた場合、施設側から退去を要請されることもあります。


介護生活のはじめから認知症専門のグループホームや特養・あるいは有料老人ホームに入居するケースを除き、介護施設からの連絡ではじめて事態の深刻さに気づくなど、家族はいわば「不意を打たれる」かたちで、本人の介護施設の移り替えを考えざるを得なくなることのほうが多いでしょう。


最初の介護施設に入居できた段階で、家族としてもホッとしてしまい、本人の身体機能の衰えが年々進み、さらに手厚い介護が必要になってくるという先々の状況の想定とその対処にまで普通は思いが至らないためです(介護施設の種類によって異なる「住み替え」への対処法。 もご参照下さい)。


看取りまでの一貫したサービスを謳う施設も少なくありませんが、現実には双方のさまざまな事情の変化により、退去を余儀なくされることが多くあります。

もちろん、現在入居している施設に相談すれば、それなりに事情を汲み、可能な範囲で便宜をはかってくれるところが多いでしょう。しかしそれに甘え、一日でも長く住まわせようとばかりに、現在の施設に強く無理強いをすることは避けるべきです。

現在は病院も介護施設も、大きな問題と認識されたケースについては地域で情報を交換し共有していることは、覚えておきましょう。


一つの施設での居住期間が限定され、さりとて自宅に戻して介護することも現実的に難しい場合は、別の施設にできるだけスムーズに移すことを考えざるを得ません。

本人の身体的・精神的機能の劣化がそのきっかけ・原因であるということは、通常は施設を替わった後は、これまでよりも手厚い介護サービスが必要となることを意味します。

そのため、本人や家族の経済的負担がこれまで以上に増えることも、ある程度は織り込んでおかなくてはなりません。


介護では、家族は本人が比較的元気だったときのイメージをどうしても引きずりがちなものです。目の前にいる本人が現在から身体的・精神的機能が衰えていく過程を想像して、先々の判断材料としていくことは、家族にとって難しく辛いものです。

しかし現在の施設介護を取り巻く状況を考えれば、家族がきめ細かに先回りして、想定にもとづく準備をできるだけ早いうちに少しづつでも行なっておくことが、本人の安らかな老後、そして家族の負担の軽減につながる道であることも、また確かなのです。


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