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2012年4月施行、改正介護保険法とは。

2011年6月に成立した「介護保険法の一部改正」は、介護保険法ができてから2回目の大きな改定となりました。

改正介護保険法は、すでに2012年(平成24年)4月からスタートしています。


すでに65歳以上の高齢者が人口の23%を占める「超高齢社会」が、世界のどの国も経験したことのない猛スピードでさらに加速しつつある日本。

今回の改定は、今から十数年後の2025年、すなわち団塊世代が75歳以上になり高齢化がピークを迎える時期に照準をあわせた皮切りとされています。


国の分析によると、2025年には高齢者数が現在から25%、認知症の高齢者数が55%、それぞれ増加するとされています。

介護保険の給付費も総額19~25兆円に達すると推計されており、「将来にわたって安定的で持続可能な介護保険制度」を確立するための時間も、もはやそれほど残されているとは言えません。


このような環境下、今回の介護保険の改正で国が目指しているのは、『高齢者が住み慣れた地域で、医療・予防・介護・生活支援のそれぞれを、切れ目のない一体的なサポートとして受けられる』(「地域包括ケア」)体制の確立です。

高齢者が適切な介護サービスを利用しながら自分の暮らす地域で自立した生活を送れるよう、2025年までには介護システムを整える、そのために必要なのがこの「地域包括ケア」システムである、というわけです。


その展開のポイントとして以下の6つを掲げており、それぞれ個別に落とし込んだ具体策が、2012年4月から実施されています。


1. 医療と介護の連携を強化~地域包括ケアの推進
2. 介護人材の確保と介護サービスの質の向上
3. 高齢者の住まいを整備
4. 認知症対策の推進
5.(市区町村の)保険者機能の充実
6. 保険料の上昇の緩和


以下、各施策のポイントを解説します。

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2012年の改正法と、施設介護への影響。

2012年(平成24年)4月施行、改正介護保険法のポイント。で概要を説明した介護保険の2012年改正点を、施設介護在宅介護の関係を踏まえて見ると、いくつかの問題点が浮かび上がってきます。


団塊世代の高齢化に伴う、2025年からの要介護者の激増に備えるための第一歩として、国は今回の改正で「地域包括ケアシステムの実現」を強く打ち出しています。

しかし、この「地域包括ケアシステム」を運用する主役として「市町村」や「地域包括支援センター」を前面に押し出すその一方で、肝心の国の姿がよく見えなくなっている点が気がかりです。


「地域包括ケアシステム」で念頭に置かれているのは、「地域のパワーを有機的に連動させることによる、在宅介護力の強化」です。

しかし、特養の待機者が一向に減る兆しがないことからもわかるとおり、家族構成や仕事の都合、あるいは在宅介護の負担に耐えかね、施設介護を強く求める人の数は増加の一途です。

このような施設介護の充実を求める人たちの声が今回の改正でどこまで反映されているかを考えたとき、対策としては弱いという印象が否めません。


これはもちろん、国の介護財政・財源の問題にも、密接に絡んでいます。

今回の改正では、財政安定化基金の取り崩しを明記した以外、財源の問題にほとんど踏み込んでいないという批判があります。

在宅介護よりも一般にコストがかかるとされる施設介護の強化のための施策は、今後の要介護者の増加を展望した場合、国としても二の足を踏まざるを得ない…ということなのでしょう。

「地域の介護事情は地域が一番わかる、地域で支えあうのが一番」的なお題目のもと、「在宅介護の充実」「市区町村の権限強化」へと、急いで舵を切ろうとしているようにも見えますね。


また新サービスが今後普及し、市町村の役割が大きくなるにつれ、利用者に対する最終的な責任はいったい誰が持つのか?という「責任主体の所在」の問題が出てくる局面も、あるかもしれません。

万一市町村の独自事業に起因する問題が生じたとき、国が「自治体で決めてやったことだから」としてはっきりした責任をとらない態度に出てくることも、考えられないことではありません。


一口に「地域」といっても、市町村・地域包括支援センター・事業所・NPO・医療機関・民間サービス企業・ボランティアなど、さまざまな主体が一体となった有機的な活動体を「地域」と呼んでいるのが、実際のところでしょう。

いざ大きな問題が起きた時、責任の所在がもっともあいまいになりやすいのも、また「地域」なのではないでしょうか。

「地域の責任」といっても、システムの権限と責任範囲をある程度誰が見ても明確なものにしない限り、曖昧に収れんされたり、たらい回しにされる可能性も否定できないでしょう。

「地域でケアする=地域で責任を持つ、すなわち国は責任解除される」という論理のすり替えになってはいけません。

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介護施設、様々な名前が並存する理由。

介護保険三施設以外にも、他のコラムでご説明したような、有料老人ホームや老人福祉施設、高齢者住宅などの様々な介護施設があります。

なぜ、このように混乱を招くほどの様々な呼び名種類介護施設があるのか?と、疑問に思われませんでしょうか。


これは、高齢者をとりまく状況の変化に政治的に対応するべく、高齢者福祉に関する法律が新しくいくつも追加されてきたため、という理由が大きいようです。

日本の「高齢者福祉政策」が激しく移り変わってきた結果として、今この日本には、それぞれ異なる根拠法(所轄官庁)を有する、高齢者に関わるさまざまな呼び名の施設が共存する状態になっているのです。


高齢者福祉の有り様が変わってきた根本的な理由に、経済成長の鈍化(それに伴って余力がなくなってきた財政)、そして少子化の進行とセットになってハイスピードで進む高齢化があると言われます。


戦後を経て、高度成長期など好景気の時代には、老人の医療費の窓口負担がゼロであったりと、国家財政面においても全体におおらかなムードがありました。

しかしやがて経済が低成長の時代へと移り、その一方で高齢者人口がどんどん増加してきたことから、高齢者を対象とした福祉に関わる法律として、1963年に「老人福祉法」が制定されました。

今日でもこの「老人福祉法」は、高齢者福祉の基本となる法律として位置づけられています。

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「老人福祉施設」、その様々な種類。

介護施設、様々な名前の施設が並存する理由。でご説明した「老人福祉法」における「老人福祉施設」には、以下の施設があります。


老人デイサービスセンター


介護保険において「通所介護事業所(デイサービスセンター)」と呼ばれている施設です(居宅サービス(3)〔外部に通所・通院+その他〕。をご参照)。

利用者が日帰りで通い、そこで入浴や食事、機能訓練や日常生活訓練などのデイサービス(通所介護)が提供されます。


老人短期入所施設


介護保険において「ショートステイ施設」と呼ばれています(居宅サービス(3)〔外部に通所・通院+その他〕。をご参照)。

介護者による居宅での介護が難しいときなどに、特別養護老人ホームなどに高齢者が一週間程度の短期間滞在してケアを受けるサービスです。

特別養護老人ホームや養護老人ホームに併設され、一体的に運営される施設が多いです。


軽費老人ホーム


様々な家庭の事情などから在宅生活が困難になった、おおむね60歳以上の自立した単身または夫婦(片方が60歳以上でOK)の高齢者が利用できる、定員50-100人程度の施設です。

公営と民営のものがあり、入居契約は施設長との間で成されます。

個室によりプライバシーの確保がなされ、また有料老人ホームのような高額の入居一時金は不要(ただし預託金が必要な場合あり)で、比較的低廉な価格であることから、人気が高まっています。


入居時に自立が条件となっていても、入居後に心身が衰え介護が必要になった場合には、訪問介護などの在宅サービスを受けることができるため、安心感も高くなっています。

(ただし、一般的に介護が重度の場合はケアハウスには入れませんし、入居後に重度化した場合も、特別養護老人ホーム(特養)などに移る必要があります。)


軽費老人ホームは、A型(食事サービスが受けられる)B型(原則食事の提供無し、自炊が基本)がありますが、分類上は「ケアハウス」(A型に似て食事サービスが受けられる)も、軽費老人ホームの一種とされています。


ケアハウスは軽費老人ホームでありながら、一定の基準を満たすことによって「特定施設」となることができるため、今日では(介護付)有料老人ホーム」との実質的差異をほとんど見出しにくくなっているのが現状です。


これは、介護保険施設(2)〔介護老人保健施設(老健)〕。でご説明したとおり、厚生労働省が療養病床の受け皿不足の解消を狙い、「特定施設」の範囲を、ケアハウスや高齢者専用賃貸住宅等にまで、後から拡げていったことによって生じた事態と言えるでしょう。


仮に軽費老人ホームやケアハウスが「特定施設」にはなっていない場合であっても、訪問介護などの在宅サービスを利用することができるため、有料老人ホームとの実質的な違いはますます無くなってきていると言えそうです。

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