「グループリビング(グループハウス)」、現状とこれから。


「グループリビング」とは、比較的元気な高齢者が自発的に、自立支援や生活支援などを目的に、仲間とともに一つ屋根の下で、助け合って生活するという住み方・暮らし方を指します。

本来的には家族間で行う調理・そうじ・食事などの行為を共にし、それらを共同化・合理化した共同生活をおくります。

そして、そのような住み方・暮らし方をする人の集まる住宅が「グループハウス」と呼ばれています。


なおよく似た言葉に「グループホーム」がありますが、こちらは「痴呆性(認知症の)老人を対象にした介護施設」を指します。

その点で、比較的健康な高齢者が主体であり、必ずしも介護を伴わない共同生活である「グループリビング(グループハウス)」と、区別されています。

(ちなみに、「グループホーム」介護保険ではじめて制度化され、「(介護予防)認知症対応型共同生活介護」として、介護保険の「居宅サービス」の給付対象になっています(居宅サービス(4)〔地域密着型サービス〕。をご参照ください)。


そもそも、現在の「グループリビング(グループハウス)」のように、まったく知らない人たちが集まって暮らすかたちの取り組みが始まったのは、1990年代に入ってからと言われています。


厚生労働省もその生活スタイルの研究を続けていたことから、介護保険制度の発足時には、「高齢者共同生活支援事業」をスタートしました。

しかし、その助成の対象となるのは、「5人から9人」の「おおむね60歳以上の高齢者で、同一家屋内で食事等、お互いに生活を共同化できるもの」と、一定の指定条件が課されています。


現状ではその指定条件を満たせぬ施設も多いため、助成金を受けずに独力で活動している「グループリビング(グループハウス)」の数が、実態としてはるかに多いようです。


グループリビングのイメージとしては、広めの中古住宅や賃貸アパートなどを改装して、入居者は個室で生活しながら、食堂・ダイニング・風呂などの共同スペースをつくり一部を共同化します。

比較的緩やかな共同生活のためのルールをつくり、食事どきなどを除いては、個人で思い思いにできるだけ自立した生活を送ります。


ちなみに食事・調理サービスはどんなグループハウスにおいても必ずあることから、共同生活においては、「食事の共同化」が重要なポジションを占めていることがわかります。

医療や介護サービスが必要になったときは、提携先の病院や居宅・訪問・通所介護のサービス事業所から、自分で医療やサービスを選んで利用します。

施設ごとに違いはあるものの、大まかにはこのようなイメージです。


メリットは、なんといっても入居者個々人の自立した生活を、施設側が大切に扱ってくれることでしょう。

どうしても施設側が決めたスケジュールにそって動くことになる特養などの介護保険施設に比べて、自由・自立を重んじたライフスタイルがあることは、「グループリビング(グループハウス)」の非常に大きな魅力であると言えるでしょう。


懸念点としては、重度の認知症患者などはやはり共同生活を送るのが難しいため、入居に適さないことがあります。

また、比較的健康な高齢者にとっても、いわばひとつの小さなコミュニティを形成しているため、人間関係をうまく保っていけるかどうかもポイントになるでしょう。

経営が厳しい施設も多いため、施設の経営状況によっては閉鎖リスクも考慮する必要があります。


現状では、「グループリビング(グループハウス)」全国でまだ70施設程度と、それほど数は多くありません。


グループハウス単体で運営するのは、経営側としてなかなか採算がとりにくい、と言われています。

介護保険の適用のある「グループホーム」を併設して、なんとか採算をとっている事業者もあります。

入居者とスタッフ人数のバランスをとるのが難しく、また当初予定していたほど利用者・入居者が集まらないなど、厳しい運営に直面するケースも多いようです。


「グループリビング(グループハウス)」そのものは、高齢者のライフスタイル重視という点から柔軟な展開を行いやすく、自立と自由を志向する高齢利用者にとっては、魅力的な面を多く有しています。


課題となる施設の経営・財政面での安定性を、経営の多角化などにより、今後いかに確保していくかが
「グループリビング(グループハウス)」のこれからの発展の鍵になると思われます。




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