介護施設のスプリンクラー設置義務化。


スポンサーリンク

消防法施行令が改正され、2015年4月1日からは小規模な介護施設であっても、例外なく自動火災報知機等の消防用設備設置が義務づけられることは、介護施設の利用者側としても知っておきたいところです。

2013年8月現在、スプリンクラーの設置義務は延床面積275㎡以上の高齢者施設となっていますが、この度の法改正により、275㎡以下の床面積の施設にも設置義務が出てくることになります。

グループホーム有料老人ホームだけでなく、要介護者が短期間入居する小規模多機能型居宅介護施設等も対象となります。


ちなみに「スプリンクラーを設置していない275㎡未満の高齢者施設」は、全国に2千ヶ所以上あるとのことです(2013年2月現在)。

グループホームは全体の約6割、275㎡未満の施設に至っては約9割がスプリンクラー未設置のままというのが、実情のようです。

法施行については、設備の設置費用面からすぐに対応するのが難しい介護施設も多いため、設置までに一定の経過措置(猶予)期間が置かれています。

新たに消火器具や火災警報器・誘導灯等を設置する場合は2014年3月31日まで、またスプリンクラー設備・自動火災報知設備や避難器具等を設置する場合は2018年3月31日までが、それぞれ経過措置(猶予)期間となります。

2006年に長崎県のグループホームで7人が死亡する火災事故が発生したことを受けて消防法が改正され、現在のスプリンクラー設置基準が設けられています。

しかしそれ以降も、スプリンクラーが未設置の障害者施設やグループホームにおいて火災による死傷事故が相次いだことから、施設の規模に関係なく設置を義務づけることとしたものです。


グループホーム等に入所する要介護者、とりわけ認知症の入所者は体力はもとより身を守るための判断力自体が低下しているため、万一の出火時には自ら避難行動をとることが期待できず、ほぼ全面的に職員の誘導に頼ることになります。

どの介護施設も、夜間は少人数の職員で対応しているのが現状です。万一の際は、担当職員が火事の発見・通報・初期消火の可否および避難の判断を行いながら、安全が確保できる場所まで入所者を適切に誘導できるかどうかにかかってきますが、特に夜間において少人数でこれらを全てこなすのは非常に困難です。

車椅子で移動する入所者も多いため、いくら避難訓練を積んだにせよ、すみやかに避難を誘導することの難しさは想像に難くありません。

これらを踏まえれば、介護施設におけるスプリンクラーの設置が消火の初期対応手段として有効なのは、間違いのないところです。

スポンサーリンク

国は設置費用に関わる補助制度を設けていますが、それでも介護施設側には、百万円単位の新たな負担が生じると言われています。新たに対象となるすべての介護施設がスプリンクラーを設置できるかどうかを、危ぶむ声もあります。

現在すでに補助金の支給対象を275㎡未満の施設にも拡大しているにも関わらず、その利用件数が極めて少ないことが、介護施設側の消極的な姿勢を暗に示しています。

入所者や職員の生命に関わる大事との認識はあるにせよ、やはりその費用捻出が施設経営上の大きな負担となるためです。

厚生労働省が2013年2月に行った調査では、調査対象施設の約90%が「消防法上の設置義務が無いこと」、そして67%強が「費用負担の問題」を未設置の理由として回答しています。

「認知症高齢者グループホームにおけるスプリンクラー設置等実態調査」について(厚生労働省)


入所者そしてその家族は介護施設選びに際し、万一の防火対応等についてはどのような点をチェックすべきでしょうか?

仮に介護サービスや住環境面で満足のいく施設を選び出せたとしても、上述のとおり建物が古いまま、スプリンクラーはもとより消防・通報設備が不十分な施設が少なくありません。小規模なグループホーム等では、避難時の動線すらきちんと確立されていないケースが大半でしょう。

防火対策について施設に要望を述べることはできても、入居を希望する側としては、ある程度現実的な妥協をせざるを得ないかもしれません。

介護施設のスプリンクラー新設費用はある程度入所者に転嫁される可能性もあるため、この問題はその点からも関心を持つべきと言えます。何より大切な家族の命に関わることであり、費用がかかるので介護施設の防火体制はいつまでもおざなりでよい…と言うことにはなりません。


入所前には少なくとも、避難訓練の実施状況・夜間の火災発生時における避難誘導方法、スプリンクラー設置に向けた施設としての対応方針等を、必ず確認します。

火災時に広がった煙に巻き込まれ命を落とすケースも少なくないため、煙の拡散を防ぐための対策や排煙口の設置状況等についても、施設の見学時にはチェックしておきたいものです。

消防法では、収容人員が10名位上のグループホーム等に「防火管理者」の選任が義務づけられています。

防火管理者は消防計画の作成や消火設備の点検・避難訓練の実施等を目的に置かれるため、その施設の防火管理者に話を聞いておくと、防火対策に関わる基本的な姿勢を読み取ることもできるでしょう。


スポンサーリンク



すべての記事(記事一覧)こちらから




▲先頭に戻る