「介護サービス情報公表制度」の概要。
介護サービスは形をもたないので、施設やサービスに対して不満がある場合、サービスの利用側としてはどう対処していいか迷うものです。
そういった場合、まずお近くの地域包括支援センターを訪ねたり、担当のケアマネジャーに相談した上で、提供された介護サービスについて改善を求めるのがよいでしょう。
その前にまず、特定の介護施設や介護サービスについて自分で調べてみたいと思った方は、「介護サービス情報公表システム」を活用してみましょう。
・介護事業所検索 「介護サービス情報公表システム」(厚生労働省)
この介護サービス情報公表システムは、介護保険法に基づき2006年に創られました。同システム上で情報が公開されている事業所数は、全国19万ヶ所に達します。
2012年(平成24年)4月の改正介護保険法で「介護サービス情報公表制度」の見直しが行われ、それまで都道府県ごと置かれていた情報公表サーバーを「国が一元管理するシステム」へと変更しました。
各介護事業所が介護サービス情報を都道府県の指定機関に年1回報告し、その内容が介護サービス情報公表システムを通じて公開されます。
また都道府県は書面調査のほか、必要に応じて事業所の訪問調査を行います。
介護サービス情報公表システムでは「施設サービス」「居宅サービス」に加え、「介護予防サービス」「地域密着型サービス」など、介護保険法に基づく24種類・52サービス(2015年4月現在)が公表されています。
公表情報は、「基本情報」と「運営情報」、そして都道府県が独自に項目を設定し報告までは義務付けない「任意報告情報」に分かれます。
「基本情報」では、文字通りその介護サービス事業所の基本的な事項、すなわち所在地・連絡先・従業者の数・営業時間やサービス内容などについて、その事業所からの報告内容がそのまま公表されています。
「運営情報」については、各事業所の介護サービスに関する具体的な取組みの状況(相談や苦情への対応状況や職員の研修の状況・外部機関との連携など)について公表されています。
都道府県の任意設定となる「任意報告情報」は、「介護サービスの質に関する情報」「介護サービス従事者に関する情報」等になります。
具体的には、前者は要介護度の改善状況や外部機関の評価、後者は勤務時間・福利厚生体制・賃金体系・休暇の取得状況・離職率等に関わる情報となります。
しかしながら、これらは介護施設(介護事業者)側にとっていわゆる「ネガティブ情報」を多く含むものであり、公表する事業所が今後どの程度増えていくかが注目されています。
ちなみに、現在これらを自主的に任意開示している事業所は、情報公表事業所全体の1%程度(2013年現在)に留まるとのことです。
2015年(平成27年)4月の制度改正においては、「地域包括支援センターの情報」「(地域支援事業内)介護予防・生活支援サービスの情報」も公開の対象となることが、新たに盛り込まれました。
「地域包括支援センターの情報」は年1回の公表ですが、「(地域支援事業内)介護予防・生活支援サービスの情報」の公表は努力義務(随時更新)に留まっています。
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