居宅サービスと、要介護認定の区分変更。


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2006年4月の介護保険法の改正によって要介護認定の区分が変わったことから、従来の介護保険サービスを利用できなくなる人、あるいは意図的に利用しない人も増えているようです。


とくに、要支援1・2および要介護1のいわゆる「軽度」に分類された人たちは、利用できるサービスが大幅に制限されている現状があります。

むろん要支援認定を受けた場合は、前述した「介護予防サービス」の利用ができますが、要介護のメニューに比べ利用回数の限定やサービス内容が軽量化して、全般に使いづらさが増しています。

(さらに2015年の介護保険改正では、2017年度末までの3年以内に、要支援向けサービスの主要な一部[介護予防訪問介護・介護予防通所介護]を、介護保険から市町村の地域支援事業へ移行することも決定しています。)


要介護認定の区分変更によって、これまで利用できていたサービスが利用できなくなり、介護報酬の請求が認められなくなった場合は、同内容のサービスを受けるためにその部分を個人負担せざるを得ないケースが現場で多く発生している、と言われます。

なお2009年4月に要介護認定の判定基準が見直され、すでに実施されていますが、この問題はそれによって改善するどころか、さらなる深刻化の兆しをみせています。

(姉妹サイト記事「要介護認定の判定基準見直し(2009年4月実施)、その概要と問題点」をご参照。)

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要介護認定の審査は、第一段階はコンピュータ判定、その後は第二段階として主治医の意見書や調査官の特記事項をもとに、「認定審査会」における合議制の審査によって行われます。

問題はこの第二段階の「認定審査会」で、ここで認定区分の変更を受けてしまい、利用できるサービスに事実上の大幅な制限がかかるケースが珍しくないのです。


たとえば、要介護1の人は、介護用ベッドや車椅子の使用が原則禁止となっていますので、もし重度の要介護者が認定変更によって要介護1~要支援2となった場合、介護用ベッドを返却せざるを得なくなってしまうのです。

この認定の区分変更は、本人やケアプランを作成するケアマネジャーの意向と異なった変更がなされることも多いといわれ、「切実にサービスを必要としている人が、介護保険を利用できない」という事態も、現実にあちこちで生じています。


要介護度は最初の認定を除いて(最初は6ヶ月間有効)、原則として要支援の方は12ヶ月・要介護の方は24ヶ月が、「認定の有効期間」となります。

この有効期間内であっても、利用者の心身の状況が悪化し、受けたいサービスを増やしたい場合などは「区分変更申請」を行って、認定の見直しを申請することができます。

また審査結果の説明を受けても納得がいかず、要介護認定の結果そのものに不服がある場合は、認定通知の日から60日以内に「行政不服審査請求」をすることもできます。

しかし「区分変更申請」や「行政不服審査請求」を行っても、必ずしも言い分が通らず却下されるケースもあります。


このような背景もあり、要介護認定を受けていても、実際はサービスを利用していない人が多くいます。

その結果、自費負担が急増しヘルパーによる買い物への付き添いが難しくなった結果、高齢者が自宅に引きこもるなど、社会問題の様相を帯びてきています。

介護報酬の請求が認められなかった場合は、利用者の自費となってしまうことから、長時間利用となるケアプランの作成自体をちゅうちょするケアマネジャーも少なくないといわれています。


とくに「予防給付」の場合は、要介護度別の利用限度額とは別に、「サービスごとの利用上限」が定められています。

そのため、「あるサービスは不要だから、その部分にかかる金額を他のサービスを増加することで代替してほしい」といった要望は認められないという不便さがある、との批判もでています。


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