「ケア付の高齢者住宅」、新たな介護施設のかたち(1)。


地方自治体が保険料の増大による財政圧迫を警戒していることもあり、「特定施設」の指定を出さなく
なったこともあって、本格的な(介護付)有料老人ホームケアハウスなどを新たに建設することが、
全国的に難しくなってきているのが、現実です。


そのような背景もあり、比較的自立度の高い高齢者が、必要に応じて訪問介護ケアサービスや、
食事などの生活支援を受けられるよう、「賃貸アパート」「戸建て住宅」「賃貸マンション」など
デイサービス施設や訪問看護の事業所などを備え付け、24時間途切れないケアを実現するという、
「ケア付きの高齢者住宅」の新設が、全国レベルで増えてきています。


介護保険三施設への入所が長期間を要したり短期対処を迫られたりの現状、そして有料老人ホームの今後の厳しい見通しなど背景に、「ケア付きの高齢者住宅」は、従来の住み慣れた自宅での在宅
医療や在宅介護が難しいといった場合に、施設介護に準じた、在宅介護サービス」の提供を行える施設として、注目を集めながら発展してきています。


プライバシーの重視や、共同生活により孤立感を防ぐことができる、といった点を兼ね備えていることも、メリットといえるでしょう。

入居者はこれまでの暮らしを維持しながら必要に応じてケアを受けられるため、有料老人ホームに入居せずとも、事実上途切れの無いケアを受けることができるわけです。



最近では、1階部分に「小規模多機能型居宅介護」の施設(自宅から通えて、必要に応じ寝泊りできる)、2階部分以上に高齢者入居のための賃貸部分を設けた「複合型マンション」や、1階部分にデイサービスを併設・2階にはグループホーム・そして3階以上を賃貸部分として設計した「ケア付の高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」などが、登場してきています。



「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」とは、2005年12月、高齢者居住安定法にもとづき創設された、設備・サービス等の情報を都道府県に登録する必要のある、高齢者向けの賃貸住宅です。

購入価格帯も比較的手頃に設定されており、また「高専賃」の総登録戸数もすでに14,000件に達する
など、人気が高まってきています。


「高専賃」は、管轄が国土交通省であることや、都道府県への登録だけで済むことから有料老人ホームで必要な都道府県の検査による「介入」を受けずに済むことなど、運営する介護事業者側にとっても、メリットが多いといわれます。

また前払家賃や日常生活に関するサービスの有無などについて、事業者に詳細な内容の開示を義務づけていることも、利用者側の安心感を生んでいます。



加えて、有料老人ホーム
は、介護サービス等を含む施設の利用権を購入する「終身利用権方式」が多いのですが、この「高専賃」は入居時に賃貸借契約を結ぶことから、借家人の権利が法律で保護されており、万一事業者が倒産するような事態になったとしても住み続ける権利を主張することができます(契約ですので、もちろん途中解約も可能です)。


このように、なにかと制約の多く採算性もとりにくい介護保険制度のもと、自治体の監督を受けながら介護施設を運営するよりも、自由度とサービス設計の許容度が広い「高専賃」に、独自に診療所や訪問看護ステーションなどのケアサービス施設を併設していくことによって、経営面での成功をはかろうとする事業者も増えてきています。


次のコラム「ケア付の高齢者住宅」、新たな介護施設のかたち(2)。では、この「高専賃」のグレードアップ版となる、「適合型高専賃」を中心にご説明します。

 




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