「遠距離介護」、避けては通れない交通費問題と、その対策。
高齢の両親・片親を地元に残したまま、地元の介護施設に入所する親のところへ通うために帰省したり、あるいは突発的なSOSなどで親の住む地元にひんぱんに戻る可能性の高い都市圏で働くサラリーマンなどにとっては、いわゆる「遠距離介護」にかかる交通費は、その一回当たりの費用が高いことからして、たいへんに頭の痛い問題となります。
交通機関別に見てみると、JRや長距離バスについては、介護を特定の対象とした割引サービスを実施しているところは、2008年7月現在では無さそうです。
列車や長距離バスによる帰省の場合、回数券や他の割引制度の利用、あるいは金券ショップで少しでも安く購入するといったいわば通常の手段を駆使して、割安チケットの購入をはかるより他に手がないのが現状のようです。
費用的にもっとも高くつくであろう航空料金については、大手航空会社は各社とも介護(帰省)割引を用意していますので、ここでご紹介しておきます。
現在、介護割引を導入しているのはJAL(日本航空)、ANA(全日空)、SNA(スカイネットアジア航空)、SFJ(スターフライヤー)といった航空会社で、1年間有効の介護パスを各航空会社が発行するかたちで、航空料金の割引が受けられるものです。
割引率や、申請方法は航空会社で異なりますが、27~43%程度と、ケースによっては「特割」などに匹敵する高い割引率が、繁忙期や当日予約でも適用されることから、いわゆる「遠距離介護」のために地元にひんぱんに帰省する方にとっては、とくに好評のようです。
利用者数も、前年比二桁のペースで伸びてきているそうです。
ついでに記すと、JAL・ANAにおいては、マイルも減額無しで付与されます。
割引率の高い各種の「早期予約割引」とうまく使い分け、併用しているヘビーユーザーの方も少なくない、とのことです。
ただし、制度の悪用を防ぐために、いくつか手続き的な制限も設けられていて、割引人数は2人までとし、座席数も制限(JALのみ、人数および座席数の制限はなし)、また介護される人は「二親等以内の親族」「夫・妻の兄弟姉妹の配偶者」までと、その範囲も限定されています。
また、ANAにおいては、介護認定が要支援の場合、割引パスが発行されません。
詳細については、以下の航空各社説明ページをご覧ください。
これらの介護割引を利用する以外にも、利用頻度が多い場合、これら航空会社や鉄道各社の株主となることで、所定の株数に応じて適用される「株主優待割引」を活用している方もいます。
つまるところ、知恵を絞って工夫し、少しでも割引率の高い交通機関チケットの入手と、交通手段の効率化をはかるしかないのが現状ですが、週末の地元往復という手段をもってしての遠距離介護をいつまでも続けられるかどうか、については、残念ながら疑問といわざるを得ません。
通う側の体力だって年々少しづつ落ちてきますし、経済的な面でもいつまでも現状を維持できるとは限らないからです。
かりに東京から北海道・九州などに月二回の帰省を続けただけで、上に述べた航空会社の介護帰省割引を利用したとしても、往復の飛行機代だけで年に100万円以上かかります。
たまのおみやげ代やもろもろの雑費も含めると、年間で十万円単位の追加費用も発生するでしょう。
かといって、「地元に適した転職先が無い」など、本人の努力だけでそう簡単に解決し難い問題もある
ことから、まずは「遠距離介護」のあり方、そのやり方の見直しを、はかっていく必要があるでしょう。
介護する側としては、「現状においてできることをやる」というスタンスで臨まざるを得ませんが、たとえば一回分の帰省費用を地域の有償ボランティアサービスの利用に充てるとか、あるいは数年先をみてもっと有効な別の使い途に回すほうが、介護を受ける当人にとってより望ましいということもあるかもしれません。
とある調査によれば、帰省費用を親から一部工面してもらっている子供も、相当数いるようです。
それならば、帰省回数を調整して、親が元気なときは会いにいく回数を多少減らし、さらに年をとったときの介護生活の質を上げるほうにお金を振り向ける、といった考え方もあるのではないでしょうか。
本人、そして帰省する側にとってもケースバイケースで考えていかざるを得ないこの「遠距離介護」の問題ですが、交通費の使い方や費用配分についてもう一度洗い出し、調べてみてはいかがでしょうか。
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