「長期生活支援資金貸付制度」「リバースモーゲージ」、そのしくみと概要。
介護施設に入所した場合の介護費用の軽減策については、介護施設・介護サービス、利用時の負担軽減策を知っておく。いくつかご紹介しましたが、介護施設には入所せず、外部の介護サービスを受けながら自宅に住み続けたい…という場合も当然あります。
しかし年金だけでは生活資金として手一杯で、介護費用のねん出までは難しい…。
所有資産といえば、いま自分が住んでいるこの自宅のみ。
このような場合に、いわば最後の手段とはなりますが、「不動産(自宅の土地)を担保にして資金を借り、死後に売却して清算する」という資金調達方法(リバースモーゲージ)があります。
ふつうお金を借りた場合は、段階的返済によって借入金額は少なくなっていきますが、最初に担保(モーゲージ)を設定して、その後は長生きするほどに借入金が増えていくという、通常の借金といわば逆(リバース)のかたちになることから、「リバース・モーゲージ」と呼ばれています(「逆住宅ローン」などと言う人もいます)。
実施主体がどこかによっても、リバースモーゲージの内容は多少異なってきますが、以下のものがあります。
・民間金融機関によるリバースモーゲージ
上で述べたとおり、土地を担保にして生活資金・介護資金を借りる金融商品です。
本人の死後、土地の売却処分などによって清算されます。
主に一部の民間(信託)銀行や住宅会社が、リバースモーゲージ商品を販売しています(都市部のごく一部の自治体でリバースモーゲージを実施してはいますが、全体的に業務縮小傾向にあります)。
ただし昨今の不動産不況で、担保にとった土地の資産価値が下落傾向にあることなども背景にあり、都市部など販売地域を限定したり、あるいは土地の評価がある程度確実に見込める場合にのみ販売するケースが多いようです。
いずれにせよ、かなりの評価価値が見込める土地でないと、現実的には利用は難しいかもしれません。
また、借り手となる本人からみると、万一自分の存命中に借入残高が不動産の評価額いっぱいになってしまった場合は、その後の借り入れができなくなるリスクなどもあります。
このように仕組みの周知や商品リスクの整備がまだ発展途上であり、市場としての本格化はこれから…といったところです。
・長期生活支援資金貸付制度
平成15年からスタートしている「長期生活支援資金」をご存じでしょうか。
一言でいうと、こちらは「公的なリバースモーゲージ」です。
すでに全国で約270件の実績(平成17年度)もあるとのことです。
生活福祉資金(長期生活支援資金)の概要について (厚生労働省)
実施するのは、都道府県に置かれる「社会福祉協議会」ですが、直接の申込・相談窓口は「市区町村の社会福祉協議会」となります。
借り入れ世帯は「原則65歳以上で、抵当権や賃借権などの設定がなされていない持ち家や土地(マンションは不可)に住む、市町村民税の非課税世帯程度の世帯」が対象、すなわち主として年金生活者が想定されています。
単身者が対象ではありますが、「35歳以上の配偶者、又は親(配偶者の親を含む)の同居は可」とされています。
なお推定相続人からは、連帯保証人一名を選任する必要があります。
また、相続する不動産の価値を使ってしまうことから、推定相続人全員の同意も必要となります。
貸付額は1ヶ月30万円以内で、利子は年3%か長期プライムレートのいずれか低い利率となります。
融資限度額は、建物・土地評価額の7割(評価額1,500万円程度)を上限にした貸付となります。
償還期限は「借受人の死亡など貸付契約の終了時」となっており、すなわち本人が亡くなったあとに、上記の連帯保証人あるいは相続人らが、担保となっていた自宅(土地)を売却し返済することになります。
同居の家族は原則としてその家に住み続けることができなくなります(ただし配偶者は、貸付を引き継ぐかたちで住み続けることができる場合もあり)ので、申請前の十分な検討が必要です。
・要保護世帯向け新貸付資金制度
「要保護世帯向け新貸付資金制度」は、平成19年からスタートしたばかりの制度です。
持ち家・土地を有する65歳以上の「生活保護受給者」が対象となります。
評価額が500万円以上ならば、その不動産を担保に生活支援資金の貸付を受けて、本人の死後に清算するものです。ちなみに長期生活支援資金のように、連帯保証人をつける必要はありません。
上述の「長期生活支援資金」との違いは、対象が「生活保護受給者に限定」されていることです。
ただしこの制度を利用している間は、生活保護は適用されないこととなっています。
この制度がはじまったことにより、かえって生活保護を受けにくくなるとして批判する意見もあります。
現行の生活保護制度においては、一定以下の資産価値なら、自宅を所有したままで生活保護を受けることができるようになっています。
生活保護を受けていた高齢者の死後、相続人である子供らが自宅を相続できることから、資産があるにもかかわらずそれを活用せず、公的な生活保護というサービスを受けているかたちになる点が、社会的な批判を呼びました。
このような背景から、この制度は生活保護費の抑制の一環としてできたと言われています。
はじまったばかりの制度でもあり、対象となる世帯の想定数もまだ全国で数千件程度と見込まれることから、今後どの程度活用されるかについての判断には時間がかかりそうです。
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