介護保険施設(3)〔介護療養型医療施設〕。


「介護療養型医療施設」は、介護と医療の両方を必要とする高齢者が長期療養のために入所する、
介護保険が適用される施設です。

病院・医院等の一角に設けられていることが多く、一見すると病院そのものに見えます。
現在は、全国に3,000施設弱、居室数にしておよそ13万床あります。


医学的管理と看護のもとで、入所者が自宅等へ復帰できるよう、介護はもちろん日常生活の世話や
リハビリなどを行ない、できる限り自立した生活を営んでいけるように、配慮されています。

具体的には、病状が安定期にあり、医学的管理のもとで、長期間にわたる療養や介護が必要な、
要介護1以上の人が、入所できます。


かつて、65歳以上の高齢者が一定割合入院する病院は「老人病院」と呼ばれていましたが、介護保険成立後、この老人病院「療養型病床群(現在の「療養病床」)」に含められ分類されることになりました。

この「療養病床」は、「医療保険が適用される病床」「介護保険が適用される病床」に、分けられています。 前者が「医療保険型療養病床(医療療養病床)」、後者が「介護療養型医療施設(介護療養病床)」となります。


「療養病床」
は医療施設で、機能訓練室や談話室、食堂、浴室などの設備もあり、面積も一般病棟よりも広く設けるよう、義務づけられています。
(なお、療養病床はほとんどが相部屋となっており、一見したところはごく普通の一般病院の入院施設、といった風です。)


現在、「療養病床」は全国に35万床あり、その内訳としては「介護療養型医療施設(介護療養病床)」12万床「医療保険型療養病床(医療療養病床)」23万床となっています。

機能の似た両病床が並存する理由として、医療側が療養病床をすべて介護療養型に移行することに
反対したため、両方にまたがる形として残った、という説があるようです。


現在にいたるまで、介護報酬が低いなどの理由から医療側が積極的に動いてこなかったため、「介護療養型医療施設(介護療養病床)」の増加はその後スローペースで推移した後、今日では以下の理由により、急速な減少傾向にあります。


兼ねてから、現実には医療や看護をほとんど必要としない入所者が約半数を占めているとして、給付費の無駄が指摘されたこと、そして「介護療養型医療施設(介護療養病床)」「医療保険型療養病床(医療療養病床)」と機能が似ていることなどが指摘されていました。
(ちなみに、「介護療養型医療施設」「医療保険型療養病床」のどちらに患者が入院するかは、病院側の判断によりおこなわれています。)


医療の提供がほとんど必要ない人や、看護師の定時観察だけですむ人の割合が、「療養病床」「老人性痴呆疾患療養病棟」ともに、それぞれ5割前後になるという利用者の実態調査結果も、あったそうです。

このような患者の入院形態は「社会的入院」と呼ばれていますが、医療費の高騰につながる主犯として、厚生労働省はこれまで、この「社会的入院」解消を三十年来の悲願としてきました。


そのため、厚生労働省により、「介護療養型医療施設(介護療養病床)」については、2011年度末(2012年3月末)ですべて廃止される方針が、示されています(廃止される既存の施設は、2008年5月に新たに発足した「介護療養型老人保健施設(新型老健)」を中核に、他の介護施設への転換がうながされる予定です)。


厚生労働省が上記の方針を打ち出した後、「介護療養型医療施設(介護療養病床)」を出た高齢者が「介護老人保健施設(老健)」に移る場合、これまでのリハビリ施設としての「老健」療・看護体制が比較的弱かったことから、医療関係者を中心に「老健では患者の受け入れが難しく、行き場のない介護難民が大量発生する」などの批判が、これまであいついで出されていました。


そのため、厚生労働省は今後「介護老人保健施設(老健)」における医療・看護体制と機能を強化する必要がある、との基本方針を示し(これは「転換老健」と称されています)、現在は、専門家や地方自治体と共に、その具体像を描くための議論が急ピッチで進められているところです。

その一環として2008年5月厚生労働省は、患者の受け入れ先の中核的存在として想定した「介護療養型老人保健施設(新型老健)」の制度を、新たにスタートさせました。


さて、今後は多くの「介護療養型医療施設(介護療養病床)」において「介護療養型老人保健施設(新型老健)」「医療保険型療養病床(医療療養病床)」、さらには「(介護付)有料老人ホーム」などへの転換が予想されています。


療養病床
を全体として
大きく減らす意向にあることから、その受け皿を用意するため、厚生労働省はすでに、これまでは出来なかった「医療法人による高専賃や、有料老人ホームの直接経営」を解禁しています。

これまで医療法人が別会社を設立して行わざるを得なかったことを、直接経営ができるようになる
ことで、有料老人ホームケア付の高齢者向けマンションを経営する病院が、今後ますます増えてくることが予想されています。


さらに現在、厚生労働省は、病院や診療所などを運営する医療法人に対しても、特養の設置を認める方向で検討を行っています。

これにより、病床削減で退院を迫られる高齢者が、比較的利用料の安い特養で生活できるようなり、
また療養病床から特養への転換も促進されるだろう、との狙いもあるようです。

 




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